時間は実在しない2023年06月07日 00時00分00秒

 ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』の物語終盤で、シッダールタが旧友ゴーヴィンダに「時間は実在しない」と教え諭すのですが、20代の頃はそれが理解出来なくて、とてももどかしい思いをしました。
 もちろん今でも完全に解ったわけではないですが、そこそこ年齢を重ねると、自分なりに納得のいく解釈ができるようになる・・なった・・んじゃないかな・・と思います。

 人は、今現在を認識する事しかできません。
 過去や未来という概念が存在するだけで、過去や未来を実感することなどできないのです。
 誰にとっても「今、此処、私」以外はありえないのですから、我々・・昭和半ばに生まれた人間にとってはやや浅薄に感じる『今を大切にしたい』という考え方は、決して(ええ、決して・・)間違っていないと思います。

 ただし「今、此処、私」だけに意識の焦点を合わせているのであれば、それは我侭な子供じみた単なる刹那主義にすぎません。

 何時に於ける自分も
 何処に有っての自分も
 誰にとっての今も・・

 ・・同じ様に大切なのですから「今、此処、私」と同時に「何時でも、何処でも、誰でも」という普遍性を合わせ持った考え方でなければならないと思うのです。

 ==========
約20年前に書いた文章を加筆訂正して再掲しました。
『「今を大切に」は悪くはないけど 』
https://kato-masaharu.asablo.jp/blog/2003/01/20/5633835

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック