相国寺承天閣美術館『若冲と近世絵画展』2021年09月17日 00時00分00秒

 最近、ブラウザでニュースサイトを見る時は、見出しをざっと目にするだけにして、本文は極力読まないようにしています。読めば読むほど、不快、不安、不信、義憤、怒り、憎悪などに心が汚染されるばかりで、何も良い事がありません。
 それでも、やはり様々な形で、嫌な情報は心の中に入って来てしまいます。
 私が頻繁に美術館へ行くのは、美しいもので満たされた空間に身を置いて、心に侵入してきた穢れを清め、視覚を通して語りかけてくる美の精霊に心の再生を施してもらう為です。

 昨日は 相国寺承天閣美術館『若冲と近世絵画展』 を見て来ました。


 初めて若冲の作品を見た時には、やはり私も、あの色彩に心を奪われましたが、最初のショック(笑)が過ぎて、他の作品を沢山見るうちに、若冲が描く水墨画の素晴らしさ、その脅威的な技巧に惹きつけられるようになりました。
 この美術館は展示の仕方も素晴らしくて、例えば、鹿苑寺大書院障壁画の『葡萄小禽図』『月夜芭蕉図』は、大書院の一部を再現して展示されています。
 さすがというか、相国寺は若冲と縁が深いお寺ですし、鹿苑寺も慈照寺も相国寺の境外塔頭ですから、こうした事が可能なのでしょう。

*作家・美術評論家 野地秩嘉氏の連載「車でしか行けない美術館」に詳しい解説と画像があります。

 今年は、嵯峨嵐山文華館、福田美術館、そして相国寺承天閣美術館と、若冲の作品を中心とした展覧会を3つも見られました。