20年前の制作環境2003年12月02日 12時00分00秒


20年前、アマチュアの音楽制作環境がいかに貧しく不便だったか、今の若い人達には想像もできないでしょう。

カセット4TrMTRでさえ、まだ登場したばかりで、けっこう高価でした。
1曲分のパターンをプログラミング可能なリズムマシンで、アマチュアでも何とか手が届くのがTR-606くらい(6~7万?)。PCM音源を使用したリアルなドラムサウンドが欲しければ、車を買うくらいの金額が必要でした。
私はマイク入力をミックス出来るダブルカセットのラジカセと、Dr.Rhythm という6パターンくらいしか切り替えられないリズムマシンで曲を作っていました。
MTRではなくただのラジカセなので、パンチイン/オーバーダブなんて出来るわけありません。
パターンを手動で切り替えながら、1曲分の長さを録音し、ダビング時にベースを入れ、またそれのダビング時にギターを入れ・・・完成した頃には酷い音質でしたが、それでも一人で音楽を完成出来る嬉しさは格別でした。

そして、常に自分のアイデア、やりたい事が、機材の能力を上回っているのが普通でした。
ここが、今の若い人達と違って、我々の幸せだった点です。
電子楽器、録音機材の進歩をジリジリしながら待ちつつ、わずかな機材を限界以上に使いこなして曲を作り続けたその苦労が、結果的にとことん腕を磨いてくれました。

『こんな事ができたら・・この曲はもっとカッコ良くなるのに・・』
『あのアルバムの、あの効果をここで再現するには、もっと技術が進歩するのを待つしかないのか・・』
『100万近いあの機材が、もっと安く買える時代が来るだろうか・・』

今の制作環境、PowerBookにインストールされた CubaseSX & Reason は、当時の自分が想像すら出来なかった夢の制作環境です。
あの頃の自分に、今現在の私のパワーブックを使わせてやったらどんな曲を作ったろう・・などと考える事があります。