好きな作家の話「ヘッセ」2002年12月20日 12時00分00秒


私はドイツ語なんてもちろん読めませんので原文と比較する事など出来ませんが、数年前亡くなった高橋健二氏の訳は(おそらく)ヘッセの詩的な文体をうまく表現しているのではないか、と思います。
初期の作品は美しく切なく叙情的な物が多いです。
有名な「車輪の下」や「郷愁」よりも「湖畔のアトリエ」こそ広く読まれるべきではないかと・・。

第一次大戦以後、ヘッセの興味は人間の内面奥深くへ向かって行きます。
ここから後の作品こそがヘッセ文学の真骨頂です。

重要な長篇は「デミアン」「シッダールタ」「荒野のおおかみ」「知と愛」「ガラス玉演戯」。
「知と愛」はやや初期の雰囲気を残しています。
アメリカのバンド「ステッペンウルフ」は「荒野のおおかみ」をバンド名にしたものです。

これらを読んだ後、なぜ学校で勧められるのが「車輪の下」止まりで、後期の長篇ではないのかが解った様に思いました。